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株式会社GEN

コラム

税効果会計とは

2022.10.05.

 

税効果会計の目的・対象
企業会計においては費用と計上されるものでも、税務会計においては費用とならないものがあります。このように、企業会計と税務会計の間では費用の認識の面でずれ(差異)が生じることになります。税効果会計とは、企業会計と税務会計のずれ(差異)を調整し、適切に期間配分する手続きのことをいいます。

 

税効果会計が義務付けられる会社
・上場会社
・金融商品取引法の適用を受けている非上場会社
・非上場会社でも会計監査人を設置している会社
このように株主に適正な情報を開示する必要のある会社や、会計監査人を置いている会社には税効果会計が義務付けられています。
非上場の中小企業の会計では導入する必要はありませんが、任意に取り入れることは可能です。

 

 

企業会計と税務会計の差異とは
企業会計上の利益と、税務会計上の利益は、=(イコール)ではありません。

 

収益 - 費用 = 企業会計上の利益

 

益金 - 損金 = 税務会計上の利益 ※「課税所得」と呼びます。

 

法人税等の金額は、「課税所得 × 税率」で算出します。

 

企業会計上、費用と認識されるものでも、税務会計上、損金と認められないものがあります。これを「損金不算入」と呼びます。
「損金不算入」のような会計上と税務上の差異について、税効果会計が適用されます。

 

 

差異の分類
企業会計と税務会計の差異は内容により、永久差異と一時差異に分類されます。税効果会計で調整が認められているのは一時差異だけです

 

永久差異:企業会計と税務会計の計上基準の違いによる差異です。将来的に解消されることがないものが該当します。主に交際費など損金不算入となるものです。

 

一時差異:会計上の費用・収益と、税務上の損金・益金の差異のうち、将来年度に解消されるものを一時差異といいます。
収益と益金、費用と損金の考え方は同じであるものの、認識時期が異なることによって生じる差異のことです。

 

一時差異の具体例には減価償却費があげられます。会計上、減価償却費として計上した費用のうち、税務上は損金と認められない金額は減価償却超過額として一時差異になるのです。
一時差異は将来加算型と将来減算型の2つに区分できます。

 

 

将来減算一時差異とは
将来減算一時差異とは、将来の課税所得を減少させる一時差異のことを表します。
当期においては「当期の利益<当期の課税所得」となりますが、
差異が解消される時点で「利益>課税所得」となります。

 

具体的に数字を当てはめて見ていきます。
実効税率は40%と仮定します。
損金不算入額が 50で、課税所得と損益計算書の税引前利益の差異が 50となります。

 

【税務上】
益金 xxxx
損金 xxxx
==========
課税所得 250  (実際に支払う法人税額:250 x 40%=100)

 

【損益計算書】
税引前利益                200
法人税等(実際に支払う法人税額) 100
法人税等調整額 ※        △20   80 (←会計上の法人税額:200 x 40%)
=========================
当期純利益 120

 

※税引前利益と会計上の法人税額を対応させるため、税務上の税額(実際に支払う法人税額)を減少させる調整をします。

 

法人税等調整額という勘定科目を用いて、法人税等の金額を調整します。
仕訳は以下のようになります。

 

(借方)繰延税金資産 20 / (貸方)法人税等調整額 20

 

将来(差異が解消した時)の仕訳は以下のようになります。

 

(借方)法人税等調整額 20 / (貸方)繰延税金資産 20

 

繰延税金資産について
当期において将来減算一時差異が生じた場合、税効果会計を適用することにより会計上の税金に比べ、実際に支払う法人税等の方が多くなります。
これは将来の法人税等を前払いしたものとみなすことができ、これを繰延税金資産として貸借対照表に計上します。

 

【将来減算一時差異が発生するケース例】
 減価償却の超過
 貸倒引当金繰入の超過
 繰越欠損金の発生

 

 

将来加算一時差異とは

将来加算一時差異とは、将来の課税所得を増加させる一時差異のことを表します。
当期において「当期の利益>当期の課税所得」となりますが、
将来(差異が解消される時点)「利益<課税所得」となります。

 

仕訳は以下のようになります。

 

(借方)法人税等調整額 20 / (貸方)繰延税金負債 20

 

将来(差異が解消した時)の仕訳は以下のようになります。

 

(借方)繰延税金負債 20 / (貸方)法人税等調整額 20

 

繰延税金負債について
当期において将来加算一時差異が生じた場合、税効果会計を適用することにより会計上の税金に比べ、実際に支払う法人税等の方が少なくなります。
これは将来の法人税等の未払いとみなすことができ、これを繰延税金負債として貸借対照表に計上します。

 

【将来加算一時差異が発生するケース例】
 資産評価益の否認
 積立金方式による圧縮記帳

 

 

まとめ
税効果会計は会計上の費用・収益、税務上の損金・益金の認識をする時期の相違を調整することが主な役割です。
会計上の費用・収益と認識されても、税務上の損金・益金として認識されないものがあるため、その差異を損益計算書に反映させることが目的です。
税効果会計を適用することにより、自社の利害関係者に適切な情報を提供することができます。

 

 

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