インボイス制度への対応について
2022.03.15.
2023年10月にインボイス制度が導入される予定です。
具体的にどのような対応が必要なのかご説明します。
1.インボイス制度とは
インボイス制度は正式名称を適格請求書等保存方式という。
請求書や納品書の交付や保存に関する制度のこと。
【概要】
・制度の導入予定時期……2023年10月1日
・導入の目的…取引における消費税額を正確に把握するため
・影響がある事業者……課税事業者と、課税事業者と取引のある免税事業者
・導入による影響……課税事業者は適格請求書(インボイス)の発行が義務付けられる
・適格請求書を発行するためには……適格請求書発行事業者になるための申請が必要
・登録申請先……管轄地の税務署
2.インボイス制度の目的、経緯
インボイス制度導入の目的は、取引の正確な消費税額と消費税率を把握することである。
2019年10月に軽減税率制度が導入され、8%と10%、2つの消費税率が混在するようになった。
正確な消費税額を確認するために、商品ごとに適用される税率、税額が記載された請求書や納品書が必要となった。
3.適格請求書(インボイス)の記載事項
◆ 適格請求書(インボイス)に記載しなければならない項目
① 請求書発行事業者の氏名または名称
② 取引年月日
③ 取引の内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きor税込み)
⑤ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
⑥ 適格請求書発行事業者の登録番号
⑦ 適用税率
⑧ 税率ごとに区分した消費税額等
(出典:国税庁|適格請求書の記載事項)
4.現行の区分記載請求書と適格請求書の比較
◆ 現行の区分記載請求書の記載事項(2023/9/30までの経過措置という位置づけ)
① 請求書発行事業者の氏名または名称
② 取引年月日
③ 取引の内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きor税込み)
⑤ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
◆ 適格請求書(インボイス)には、現行の請求書に以下の3項目が追加される。
⑥ 適格請求書発行事業者の登録番号
⑦ 適用税率
⑧ 税率ごとに区分した消費税額等
5.インボイス制度により何が変わるのか?
① 課税事業者は、適格請求書発行事業者以外から仕入を行った場合に、原則として仕入税額控除が適用されなく
なる。
② 課税事業者は、適格請求書発行事業者が発行する適格請求書(インボイス)を受領・保存することで、仕入税額
控除の適用を受けられる。
6.企業はどのような対応が必要か?
① 適格請求書発行事業者の申請・登録
適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に登録申請書を提出し、登録を受ける必要がある。
(2021/10/1~2023/3/31の間に申請する。)
② 自社請求書のフォーマットの変更
適格請求書(インボイス)の記載事項に合わせて、自社請求書のフォーマットを変更する。
③ 請求書の管理方法の見直し
免税事業者との取引は原則として仕入税額控除の適用外となるため、免税事業者と課税事業者の請求書を区分して
管理する必要がある。
④ 発行した請求書の保存
売り手側となる適格請求書発行事業者にも、請求書の写しの保存が義務付けられる。
インボイス制度導入以降は、発行した請求書の控えを保存する。(保存期間7年)
7.経理担当者は具体的にどのような対応が必要か?
【売り手側の立場(販売管理業務)】
・適格請求書発行事業者の登録手続き
・請求書フォーマットの変更
・発行した請求書控えの保存
【買い手側の立場(購買管理業務)】
・仕入先が適格請求書発行事業者かどうかの確認
・仕入先の管理方法の見直し(例:仕入先マスタで免税事業者を区別できるようにする。)
・請求書保存方法の見直し(免税事業者の請求書を区別できるようにする。)
・受領した請求書について、適格請求書の記載項目の要件を満たしているかの確認
仕入先が適格請求書発行事業者かどうかの確認は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認が可能。
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/download/index.html
国税庁HP「特集 インボイス制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm